リンダ グラットン、アンドリュー スコットの「LIFE SHIFT(ライフ・シフト)」を読んで

本書は、これまで続いてきた教育、勤労、引退という3つのステージからなる人生の終了とともに、これから必要となる新しい生き方について説明している。歴史を紐解けば、この3つのステージが標準となったのはそもそも産業革命以降割と最近になってできていた考え方だという(その前は死ぬまで働く)。逆に言えば、3つのステージ自体は必然ではなく、時代と要請によりつくられたもので、寿命が延びれば変わらざるを得ないと指摘している。仰る通りかなと思う。現在サラリーマンとして働いていて、あまり定年のことを考えていなかったが、寿命が延びている中では確かにこのままではいかないかなと思う。自分の親世代を見ていても引退後に何をするのかというのは一つの問題である。幸いにして彼らはそこまで金銭的な問題を抱えているわけではないが、それでもより充実した人生を送るためにはさて何をするかという問題を抱えているように思う。自分としても、60歳ぐらいで定年したらその後暇すぎてやっていけないと思う。

 

ふと思って、そもそもなぜ60歳前後で退職して仕事を辞めなければならないのか調べてみた。元々は定年まで働けば年金をもらえる権利が発生する年としての設定が起源だったようである。その後、終身雇用を前提とする日本企業において、辞めさせるための意味合いも持つようになってきたようだ。その意味で、60歳で辞めさせる仕組みというのは本来合理的ではないと思う。実力があり会社にとって必要ならば60歳で辞めなければいけない理由はない。その後の雇われ方などもっと多様であるべきだ。ただ、自分がそれぐらいの年になるまでに日本企業がしっかりと対応した制度を作る確約はない。一律に辞めさせることができる仕組みの方が恐らく会社にとっては都合がいい可能性は十分ある。その意味では定年させられるまでに自分で稼げるような力をつけておく必要があると思う。起業ももちろん手であるが、手に職を付けて自分で稼げるようになっておくのも一つだろう。投資家になるというのも一つだが、自分としてはもう少し人と接点を持ちながら経営もできるようなスタイルがもっと望ましいと感じる。Buffetはその意味で、経営をしながらも投資家であるという理想のスタイルをとれている。彼の長生きの秘訣はそこにもあるように思う。自分もそれができるように40代、50代を過ごすべきであろう。